「話せば長くなるけど…あの…だから…」



取り繕うとすればするほど
何かがこぼれていくような感覚に襲われた。


こっちを見ている有の目が
なぜか自分を見ていない気がした。



「なんで…」


涙が溢れた。


また有が遠くに行ってしまった。


有は泣きじゃくる私をそっと抱き寄せた。


「ごめん…杏奈。」


なんで…

なんで…


あの日のことが、また脳裏をよぎる。


「…もしかして、ひまりって子のこと…好きなの?」


胸がチクチクする。
有の香水の香りにドキドキして、息がうまくできない。


「…お前は知らなくていい。」


なにそれ…


そんなの認めてるようなものじゃない…


そんなに数ヶ月で気持ちって変わっちゃうものなの…?