「ひまりちゃん!」


玄関を開けると、血相をかえた純大がリビングから飛び出して来た。


「ごめんね!今聞いて。大丈夫?痛いとことか…ない?」

「うん。大丈夫だよ…」

「あー…よかった。」


安心したように大きくため息をつくと、私の肩にポスっと顔をうずめた。



「もー…なんなの。もーやだ…蓮兄なんで、すぐ連絡くれないんだよ。」

「お前に連絡すると、仕事できなくなるだろ。」


「だからって…」


子供のように嘆く彼が何だか愛おしかった。


思わずその頭をそっと撫でると、それに反応するように擦り寄ってきた。


「心配かけてごめんね。」


ふとコンクリートの冷たさが蘇る。



よかった…

この人の元に帰って来れたんだ。