男の子の手には顔が隠れる位大きなスケッチブックと鉛筆。

そして地面には何色も入った色鉛筆があった。

不思議そうに見ている私に、しかめっ面をした男の子がまた口を開いた。



「そこ 邪魔だって。
 桜の木見えないんだけど。」



あ…。


私は、ちょうど男の子と桜の木の間に立っていた事に気がつく。



「…ごめんなさい。」



そういって場を空けた。


男の子は何事もなかった様に、馴れた手つきで絵書き始めた。



私は、ベンチに腰掛け書いている様子を ぼ~っと眺めていた。