「梨香ちゃん。」
夏休みも終りに近付いたある日の夕方。
いつもの様に私は優奈ちゃんと、桜の広場で遊んでいた。
そろそろ帰ろうかってなった時、優奈ちゃんは元気がなく思い詰めた表情で口を開いた。
「私ね、引っ越す事になったの。」
「え!?
いつ?どこに行っちゃうの?」
私は驚いて、聞返す。
優奈ちゃんは、一呼吸おいてまた口を開いた。
「来週なの。
東京に…。
家ね今まで、お父さんがいなかったの。
それで、章人君のお父さんと家のお母さんが結婚して一緒に東京の章人君家に住む事になったの。」
その内容に驚きすぎて、私はポカンと口が開いたまま話を聞いた。