建物3階分程は降りた踊場。
都心の色街近くの地下街を
さらに深く降りた
空間。
純粋無垢な白の壁に
シェルターハッチが取り付けられ、
先頭を降りる
黒髪の彼女が
再びカードキーを翳す。
エアー音にハッチが開く合図か
開いた先には
幾つかのベンチと、
WCサインされたドア、
もう2つのドア。
其れに天井から下がるモニター。
壁には装置磐があり、
奥に真っ黒な闇が
横たわる。
「点検管理室よ。ここで管理会
社に連絡を先にするから、その
ベンチで座ってて。ランと
リュウは、そのヤクザさんを
壁に凭れさせてあげなさい。」
此の場所を仕切る
彼女が
ボディーガードに指示すると
影の様に2人の男女は
カンジとわたしに歩み寄る。
「カンジ、、
わたしに分け与えた能力で、
身体に負担がかったんじゃ、」
全体躯を、
寄り掛かかりはしなくても、
わたしに支えられるかに
寄り添う
カンジに囁けば、
「アヤカ、、オレの欲望を支配
して理性が言ったんだ。アヤカ
がいなけりゃ意味がないと。
尤も早くそうすれば良かった。」
カンジは笑って
わたしを安心させると、
ボディーガード2人の助けを
拒んで
自ら壁際のベンチに凭れ
座わると、
「こいよ。」と、
両手を拡げて己が足の間に
わたしを座らせ、
其の腕に閉じ込める。
圧倒的体力を持ち合わせる
男だと、
夜毎の情事で知っているだけに、
座り込み
壁に凭れる姿は、
どれ程体力消耗をさせたかと
罪悪感に駈られて、
わたしの胸は
締め付けられてしまう。
「はいはーい!イチャつくのは
そこまで。少し時間をもらっ
て、自己紹介ね。まず、あたし
はマイケル・楊。香港人ね。
で、こっちの2人はボディー
ガードでレディがラン。メンズ
がリュウ。同じく香港人よ。」
長い黒髪を1つに纏めた彼女、
マイケルの言葉に
わたしは思わず声を出す。
「マイケル・楊、華僑氏族の?
神隠しにあったと騒がれた?」
旧地球での偽りの勤務地で
見つけたニュースデータに、
彼女の名前と情報が
あったと閃いて呟いた
わたしに、
マイケルのボディーガードと
紹介された女性ランが
威嚇するように肩眉を上げた。
ボディーガードの男性は、
丁度
管理室の電話に向かって話を
していて、わたしの不躾な
言葉は聞こえていない。
「ラーン!そんな顔しないの。
その通りだし。えー、その事件
の張本人が、この少年なる、
大師ね。見た目、こんなんだけ
ど最初会った時は仙人顔だった
んだから。で、悪いけど未来人
さん達の紹介してくれる?」
マイケルは、
到底理解し難い素性を紹介して
隣の少年に一瞥すると、
壁際に座る
わたしとカンジを見つめた。
「わたし、一応、旧消滅地球での
名前は一條アヤカといいます。
彼は譲夜咲カンジ。ここから
4500年後の時間軸にある星から
タイムリープして来ました。」
カンジの腕の中で、
6人の視線を受けながら
わたしはカンジに了解を乞う。
そうすると
わたしの額にカンジが
サーバルキャットな仕草で
額を合わせるから、
「彼は旧消滅地球において太古に
生息した、ヴァンパイアの子孫
より更に進化した未来人です。」
静かに自己紹介に補足した。
「ちょっ、ちょっと待って?!
何その消滅地球ってやつ?それ
この地球が無くなってるの?」
「ヴァンパイア?!」
「タイムリープ、、」
マイケルと
ボディーガードの2人が明らかに
狼狽えて言葉を挟む。
確かに
わたし達に詰め寄るのは
致し方無い。
彼等も
わたし達と同じ地球を母星とす、
人類の遠き先祖なのだから。
其れに今の言葉には
余りにも非常識な情報が
多すぎる。
「はい、でも2500年程後です。
それに、その頃には宇宙開発が
進んでますので、人類は宇宙の
星へ居住を移していますから」
わたしは祖先でもある彼等を
刺激せぬよう微笑んだが、
マイケルと、、ラン、リュウの
3人は
顔を強張らせてしまった。
「それでも微妙ーだわ。まあ、
先に紹介よね。はい、次は
そっち。あのね?大体さっき
の地下街で、いきなり現れて
息子って言われてもなのよ。」
マイケルは肩を竦めて、
わたし達に苦笑すると、
今度は
管理室の反対側に座る
コスプレ組に視線を回す。
其れを合図に騎士制服の青年が、
敬礼するかの勢い立ち上がり、
マイケルに礼を取った。
「母上、私は母上の肖像を見て
育ち、貴女に会った瞬間に、
貴女が異世界に戻られた母上
と理解しました。
私は、カフカス王帝領
スカイゲート藩島を統べる
王弟将軍テュルク・ラァ・カフ
カスが、宰相補佐官マイーケ・
ルゥ・ヤングァとの間に成した
息子ガルゥヲンと申します。」
「「「「!」」」」
聞いた事のない、記憶にもない
国名を聞いた、気がするのは
ボディーガードの2人も
同じだったのだろう。
其んな緊張高まる雰囲気を
和ませる声が、
女神コスプレの少女から
紡がれ、
更に予想外の内容を知る。
「あの、実はわたしも、こっち
世界からカフカス王帝領に聖女
として飛ばされました。 三ノ宮
トモミといいます。JKです。」
「「「「「「!!」」」」」」
今度は大師少年以外が
驚きの表情を
見せたのだ。
今の聖女というトモミの言葉で、
聞いたばかりの聞きなれない
国が、
異世界の国だと納得でき、
しかもトモミは
マイケルと同じ境遇を受けた
人物だと判明したわけで、
フードを被る青年も、
声を上げた。
「えー!聖女トモミって、
ここの世界に居たんだ。凄い
偶然だね。あ、魔導騎士の
フーリオ・ナァル・サジベルと
いいます。王帝領貴族です。」
わたしやカンジの様に、
未来人がいるのだから、異星人や
異世界人も居るのだろう。
と、
自分の驚きの声は飲み込んで、
身体に廻された
カンジの腕をわたしは握った。
けれどもマイケルは、
考えあぐねた顔で
皇子だと言った
ガルゥヲンに問い掛ける。
「ねぇ、ガル。あたし貴方を
生んだ覚えがないんだけど。」
「えっと、マイケル様?こんな
荒唐無稽な話を信じるのですか」
リュウは目を白黒させて、
マイケルに詰め寄り、
しかも
大師少年も呆れ顔をして
マイケルを嗜めた。
わたしと、後ろで抱くカンジも
興味深く其の話を聞く。
旧地球における
子孫存続の為の交配状況を
此の耳で聞けるのだから。
「マイケル、それはちと我が子に
冷たい言いぐさになろうよ。
ガルゥヲンをテュルクが男で
ありながらも生んだ
のだぞ?お主との子なのだ。」
「そうだったんだ。わかった。」
「マイケル様!どーして?!無茶
苦茶過ぎます!男性が子を産む
なども、そもそも此の者が本当
異世界人だと信じるのですか」
ランはマイケルの襟首を掴むと、
前後に揺さぶり
主の目を覚まさんが勢いで
言い重ねている。
「あのね、リュウ。今この息子が
しゃべった内容が、全部合って
るからだよ。あたしは、こっち
に戻ってからは異世界の話を、
人に話した事はない。だから、
あたしの記憶と符号する事を
何の淀みもなく話せるなら、
彼は信じれる人物だと思う。」
「マイケル様!」
リュウもマイケルに声を
上げたが、マイケルは其れを
片手で遮って
「それよりも問題は、調整世界の
人間を大師が連れてきて、尚且
つ未来人が居てるってことよ。
ガル達は何か問題があったか
ら、この世界に来た。そして、
未来人は追っ手から逃げている
けど、大師には想定外って?」
マイケルは
簡潔に状況を纏めると
大師少年と、
今度は
わたしを見つめたから
わたしは未だ腕を絡ませる
カンジに視線を、送る。
目的を話すの?
カンジは少し睫毛を伏せて
「未来で消滅した、地球を
復活させる鍵を探している。」
低く響く声で
わたしの耳横からカンジが
告げ、
そこに、声変わりもしていない
声色が重ねられ、
大師少年が言葉を繋げた。
「調整世界に封じた『魔の王』
が、この世界に逃げたのだ。」
「「「「・・・・」」」」
暫く誰も声を上げない中、
静寂を切って
マイケルが、白い管理室で
ため息をついた。
「別の事柄が重なると、こんな
にも不穏なの?大丈夫?地球?」
都心の色街近くの地下街を
さらに深く降りた
空間。
純粋無垢な白の壁に
シェルターハッチが取り付けられ、
先頭を降りる
黒髪の彼女が
再びカードキーを翳す。
エアー音にハッチが開く合図か
開いた先には
幾つかのベンチと、
WCサインされたドア、
もう2つのドア。
其れに天井から下がるモニター。
壁には装置磐があり、
奥に真っ黒な闇が
横たわる。
「点検管理室よ。ここで管理会
社に連絡を先にするから、その
ベンチで座ってて。ランと
リュウは、そのヤクザさんを
壁に凭れさせてあげなさい。」
此の場所を仕切る
彼女が
ボディーガードに指示すると
影の様に2人の男女は
カンジとわたしに歩み寄る。
「カンジ、、
わたしに分け与えた能力で、
身体に負担がかったんじゃ、」
全体躯を、
寄り掛かかりはしなくても、
わたしに支えられるかに
寄り添う
カンジに囁けば、
「アヤカ、、オレの欲望を支配
して理性が言ったんだ。アヤカ
がいなけりゃ意味がないと。
尤も早くそうすれば良かった。」
カンジは笑って
わたしを安心させると、
ボディーガード2人の助けを
拒んで
自ら壁際のベンチに凭れ
座わると、
「こいよ。」と、
両手を拡げて己が足の間に
わたしを座らせ、
其の腕に閉じ込める。
圧倒的体力を持ち合わせる
男だと、
夜毎の情事で知っているだけに、
座り込み
壁に凭れる姿は、
どれ程体力消耗をさせたかと
罪悪感に駈られて、
わたしの胸は
締め付けられてしまう。
「はいはーい!イチャつくのは
そこまで。少し時間をもらっ
て、自己紹介ね。まず、あたし
はマイケル・楊。香港人ね。
で、こっちの2人はボディー
ガードでレディがラン。メンズ
がリュウ。同じく香港人よ。」
長い黒髪を1つに纏めた彼女、
マイケルの言葉に
わたしは思わず声を出す。
「マイケル・楊、華僑氏族の?
神隠しにあったと騒がれた?」
旧地球での偽りの勤務地で
見つけたニュースデータに、
彼女の名前と情報が
あったと閃いて呟いた
わたしに、
マイケルのボディーガードと
紹介された女性ランが
威嚇するように肩眉を上げた。
ボディーガードの男性は、
丁度
管理室の電話に向かって話を
していて、わたしの不躾な
言葉は聞こえていない。
「ラーン!そんな顔しないの。
その通りだし。えー、その事件
の張本人が、この少年なる、
大師ね。見た目、こんなんだけ
ど最初会った時は仙人顔だった
んだから。で、悪いけど未来人
さん達の紹介してくれる?」
マイケルは、
到底理解し難い素性を紹介して
隣の少年に一瞥すると、
壁際に座る
わたしとカンジを見つめた。
「わたし、一応、旧消滅地球での
名前は一條アヤカといいます。
彼は譲夜咲カンジ。ここから
4500年後の時間軸にある星から
タイムリープして来ました。」
カンジの腕の中で、
6人の視線を受けながら
わたしはカンジに了解を乞う。
そうすると
わたしの額にカンジが
サーバルキャットな仕草で
額を合わせるから、
「彼は旧消滅地球において太古に
生息した、ヴァンパイアの子孫
より更に進化した未来人です。」
静かに自己紹介に補足した。
「ちょっ、ちょっと待って?!
何その消滅地球ってやつ?それ
この地球が無くなってるの?」
「ヴァンパイア?!」
「タイムリープ、、」
マイケルと
ボディーガードの2人が明らかに
狼狽えて言葉を挟む。
確かに
わたし達に詰め寄るのは
致し方無い。
彼等も
わたし達と同じ地球を母星とす、
人類の遠き先祖なのだから。
其れに今の言葉には
余りにも非常識な情報が
多すぎる。
「はい、でも2500年程後です。
それに、その頃には宇宙開発が
進んでますので、人類は宇宙の
星へ居住を移していますから」
わたしは祖先でもある彼等を
刺激せぬよう微笑んだが、
マイケルと、、ラン、リュウの
3人は
顔を強張らせてしまった。
「それでも微妙ーだわ。まあ、
先に紹介よね。はい、次は
そっち。あのね?大体さっき
の地下街で、いきなり現れて
息子って言われてもなのよ。」
マイケルは肩を竦めて、
わたし達に苦笑すると、
今度は
管理室の反対側に座る
コスプレ組に視線を回す。
其れを合図に騎士制服の青年が、
敬礼するかの勢い立ち上がり、
マイケルに礼を取った。
「母上、私は母上の肖像を見て
育ち、貴女に会った瞬間に、
貴女が異世界に戻られた母上
と理解しました。
私は、カフカス王帝領
スカイゲート藩島を統べる
王弟将軍テュルク・ラァ・カフ
カスが、宰相補佐官マイーケ・
ルゥ・ヤングァとの間に成した
息子ガルゥヲンと申します。」
「「「「!」」」」
聞いた事のない、記憶にもない
国名を聞いた、気がするのは
ボディーガードの2人も
同じだったのだろう。
其んな緊張高まる雰囲気を
和ませる声が、
女神コスプレの少女から
紡がれ、
更に予想外の内容を知る。
「あの、実はわたしも、こっち
世界からカフカス王帝領に聖女
として飛ばされました。 三ノ宮
トモミといいます。JKです。」
「「「「「「!!」」」」」」
今度は大師少年以外が
驚きの表情を
見せたのだ。
今の聖女というトモミの言葉で、
聞いたばかりの聞きなれない
国が、
異世界の国だと納得でき、
しかもトモミは
マイケルと同じ境遇を受けた
人物だと判明したわけで、
フードを被る青年も、
声を上げた。
「えー!聖女トモミって、
ここの世界に居たんだ。凄い
偶然だね。あ、魔導騎士の
フーリオ・ナァル・サジベルと
いいます。王帝領貴族です。」
わたしやカンジの様に、
未来人がいるのだから、異星人や
異世界人も居るのだろう。
と、
自分の驚きの声は飲み込んで、
身体に廻された
カンジの腕をわたしは握った。
けれどもマイケルは、
考えあぐねた顔で
皇子だと言った
ガルゥヲンに問い掛ける。
「ねぇ、ガル。あたし貴方を
生んだ覚えがないんだけど。」
「えっと、マイケル様?こんな
荒唐無稽な話を信じるのですか」
リュウは目を白黒させて、
マイケルに詰め寄り、
しかも
大師少年も呆れ顔をして
マイケルを嗜めた。
わたしと、後ろで抱くカンジも
興味深く其の話を聞く。
旧地球における
子孫存続の為の交配状況を
此の耳で聞けるのだから。
「マイケル、それはちと我が子に
冷たい言いぐさになろうよ。
ガルゥヲンをテュルクが男で
ありながらも生んだ
のだぞ?お主との子なのだ。」
「そうだったんだ。わかった。」
「マイケル様!どーして?!無茶
苦茶過ぎます!男性が子を産む
なども、そもそも此の者が本当
異世界人だと信じるのですか」
ランはマイケルの襟首を掴むと、
前後に揺さぶり
主の目を覚まさんが勢いで
言い重ねている。
「あのね、リュウ。今この息子が
しゃべった内容が、全部合って
るからだよ。あたしは、こっち
に戻ってからは異世界の話を、
人に話した事はない。だから、
あたしの記憶と符号する事を
何の淀みもなく話せるなら、
彼は信じれる人物だと思う。」
「マイケル様!」
リュウもマイケルに声を
上げたが、マイケルは其れを
片手で遮って
「それよりも問題は、調整世界の
人間を大師が連れてきて、尚且
つ未来人が居てるってことよ。
ガル達は何か問題があったか
ら、この世界に来た。そして、
未来人は追っ手から逃げている
けど、大師には想定外って?」
マイケルは
簡潔に状況を纏めると
大師少年と、
今度は
わたしを見つめたから
わたしは未だ腕を絡ませる
カンジに視線を、送る。
目的を話すの?
カンジは少し睫毛を伏せて
「未来で消滅した、地球を
復活させる鍵を探している。」
低く響く声で
わたしの耳横からカンジが
告げ、
そこに、声変わりもしていない
声色が重ねられ、
大師少年が言葉を繋げた。
「調整世界に封じた『魔の王』
が、この世界に逃げたのだ。」
「「「「・・・・」」」」
暫く誰も声を上げない中、
静寂を切って
マイケルが、白い管理室で
ため息をついた。
「別の事柄が重なると、こんな
にも不穏なの?大丈夫?地球?」