「変わりたくても変わらないことはたくさんあります。そんな時、自分を嫌いにならないで受け入れてあげてください。時間はかかるかもしれません。でも、自分を認めることができた人は強いんです」

「先生……本当にありがとうございます……!」

レイモンドの優しい言葉に、女性の声が震えていく。レイモンドの優しい言葉を聞いていると、フィオナの頭の中に家族のことが浮かんだ。家族の優しい言葉に何度救われただろうか。言葉というものはとても大切なのだ。

「フィオナ?」

ボウッとしてしまったフィオナをエヴァンが覗き込むようにして見る。フィオナは「何でもない」と無表情で返した。心の中に感情があるはずなのに、顔に一切現れない。

「あれ、フィオナとエヴァン?どうしたの?」

二人に気付いたレイモンドに声をかけられ、エヴァンが元気よく「こんにちは!近くまで来たので」と言う。フィオナもペコリと頭を下げた。

「ここで診療所をしてるんですね」