「危ないことはしないでね。何かあったら僕かシオンさんが必ず助けに行くから」

二人にそう言われ、フィオナとエヴァンは「ありがとうございます」と同時に頭を下げる。そして早速、調査に取り掛かることになった。

「エヴァン、調査を一緒にしてくれると言ってくれてありがとう」

フィオナが階段を降りながらそう言うと、隣にいたエヴァンは頬を赤く染めながら、「どういたしまして!」と微笑んだ。



黒いバラの花びら事件の資料をもらった日から、フィオナとエヴァンは事件現場を見に行くようになった。何か手がかりがあるか探すものの、手がかりは何一つない。

「ここもダメか……」

事件が起きた公園を見て、エヴァンがため息をつく。恐ろしい事件が起きたというのに、公園には小さな子どもを連れた母親が何人もいて楽しそうに子どもと遊びながら話している。

「エヴァン、仕方ないわ。事件が起きたのは三年前。三年も経てば人の記憶から事件のことは消えるし、手がかりも消えてしまう」