フィオナは資料をめくっていく。遺体の写真、現場の状況などが記されているものの、目立った証拠などがない。よほど犯人は犯行に手慣れているのだろう。

「シオンさん、この黒いバラの花びら事件を自分なりに調査してもよろしいでしょうか?」

フィオナがそう言うと、「危険だぞ」とシオンに見つめられる。しかし、どれだけ危険だとわかっていても、フィオナの中に調査しないという選択肢はなかった。

「この資料を見て、私の家族は事故ではなく他殺だとはっきりわかりました。真実を知りたいのです」

決して、フィオナの中にある決意は揺るがない。すると、フィオナの肩をエヴァンが晴れた。

「フィオナだけじゃ危ないし、僕も一緒に調べるよ。フィオナのお父さんたちにはよくしてもらったしね」

エヴァンの瞳も本気だと言っており、止めることなど誰にもできないだろう。シオンとサルビアは顔を見合わせた後、二人に言う。

「本当に危険なことだから、何かあったらすぐに連絡してちょうだい。いいわね?」