特別な力を持ち、特殊捜査チームの一員であるミステリー小説家兼大学生のフィオナ・カモミールは、黒いバラの花びらがあった遺体の観察を終えた。その表情はどこか険しく、幼なじみのエヴァン・カランコエと、一緒に事件現場に来たサルビア・ホープを驚かせる。

捜査チームの部屋に無言のままフィオナは戻り、シオン・アカツキに「どうだった?」と訊かれる前に口を開いていた。

「シオンさん、サルビアさん、黒いバラの花びらが落ちている事件は複数起きているんですか?」

フィオナの問いに、サルビアが「何年も前からたまに起きているけど、どうして?」と首を傾げる。フィオナはサルビアの胸ぐらを何も考えずに掴んでいた。

「教えてください、あの黒い花びらの事件のことを!私の家族も事故死した時、黒い花びらが落ちていたんです。家族は……事故ではなく、何者かに殺されたのではと思ったんです……」

赤い瞳が揺れ、呼吸が早くなっていく。すると、エヴァンが横からフィオナの手を掴んだ。