次の日、登校すると「おはよ〜!」と愛梨が話しかけてくれた。「おはよう」と笑顔で私も返した。

「雪乃って彼氏いるの?」

「…ブホッ…ケホッ…何突然…ケホッ…ケホッ…」思っても見たいことを聞かれたので、飲んでいたペットボトルのお茶を吹き出してしまった…

「いやぁ?いるのかなぁって気になって♡」

「いないよ…1回もいたことない」

そう、私は生まれてから1度も彼氏が出来たことがない。
いいなぁと思う人が現れても自分から告白する勇気もないし、見てるだけで終わってしまう。

それに告白してもどうせ私なんか振られるに決まってる。そう思ったらわざわざ悲しむようなことせずに、見守ってようって思うようになった。

「そーなの!?雪乃そんなに可愛いのに…。絶対モテるよ〜」

確かにそこまで重度のブスではない。だけど可愛いわけでもない。
平凡な顔つきをしている。

「愛梨は彼氏いるの?」

待ってましたと言わんばかりに、目をキラキラさせながら「いるよ!」と幸せそうに愛梨は答えた。

やっぱりいるんだなぁと私は感心した。こんだけ可愛かったら男のひとりやふたり、寄ってこないわけがないか…(笑)

「へぇー、彼氏いるんだね。どんな人?」

「えっとねぇ。年上でかっこよくて、車もってて優しい人!」

年上というワードに私はびっくりした。確かに愛梨は小柄で守ってあげたくなるような女子だ。
車もってるってことは、高校生ではないし…大学生?それとも社会人?いろいろ気になるけどあまり他人の恋愛に首を突っ込むのは気が引けたのでやめておいた。

「いいね。幸せそうで羨ましいな」

「雪乃もきっといつかこの人とずっと一緒にいたい!って人と出会えるよ!私応援してるからね!」
愛梨は私に向かって親指立てながらウインクをした。私は「あはは…そうかな…?」と半信半疑でその場を濁した。