愛梨は勉強が苦手らしい。
授業中、よく私にわからない問題があると聞いてくる。
私は全教科平均ぐらいにはできるので、愛梨に教えてあげている。

放課後…「3年になってすぐテストなんてつらいよぉ〜。」愛梨が私に涙目になりながら訴えてきた。

「ほんとね。まぁ受験生だからしょうがないよ」
そう受験生。将来のことを考えなきゃいけない時期に入ってしまった。

「受験かぁ。私、進路全然決められないんだよね…」

「あれ?美容師になりたいって言ってなかったっけ?」

「うーん。なりたいと思ってたけど。最近はそこまでピンと来ないって言うか…。」
愛梨は2年の時から美容師になりたいと言ってたので、てっきり美容師の専門学校にでも行くのかと思っていた。

「そっか〜。また1からやりたいこと見つけなきゃね。他にないの?」

「私はね!今の1番の夢は…お嫁さん!大好きな人と一緒になって、幸せな家庭を持つのが今の1番の夢なんだぁ♡」

確かに愛梨は、2年の頃から付き合っている彼氏と今も交際中だ。
その夢が叶う確率はかなり高い。
けどまだ高校生だよ。早過ぎないか!?
ツッコミそうになるのを深呼吸しながらおさえた。

「お嫁さんね、いいね。でもそれはまだ先の話だし、今は受験生だよ。とりあえず目先のことからなんとかしなきゃ」

私はオブラートにちゃんと受験生として進学なり、就職なりをするように愛梨に言った。