「すごいですね! 甘い香りもします、美味しそうです」
「でしょ? これをね、包丁で切るんだよ」
卵焼きをまな板に置き、端っこを先に切ると5センチくらいに切った。
「切れ端食べる?」
「はい、いただきます!」
料理人のアルベルトさんにその切れ端を口に入れると、口をもぐもぐさせた。
「う、うまいです!」
「アルベルトさんは甘いの好きですか?」
「はい、大好物です。公爵様が甘いものが好きなので、使用人や料理人も甘いものが好きな人結構いるんですよ。以前作っていただいたジャムパンがとても美味しかったと執事のカルドが喜んでましたし」
カルドさんは無表情の執事さんだ。
だけど召喚された日、良くしてもらっていてとても優しい人だと思う。笑ったとこは見たことないけれど。
「さ、挟みましょう! オスマンさんが出かける時間が来てしまいます!」
アルベルトさんと手分けして大量に丸パンのサンドイッチをカゴに詰めて蓋をした。