ギルバード様は、私の腰を抱き寄せ自分の膝へと座らせた。


「ギルバード様っ……お、下ろしてください!」

「ギルって呼んでくれるまで離さないから」

「……っ……」

「わっ、わかりました。呼びますから……」


 私は一度深呼吸をすると、心の中でイメトレをする。そしてもう一度息を吐くと「……ぎ、ギル」と呟いた。


「もう言ったので離してください」

「……聞こえなかった、もう一度」

「え!? む、無理ですっ」

「なら離さない。ずっとこのままだ」


 そ、そんな……! 理不尽だよ!


「……っギル、様」

「やはり可愛いな、俺の姫君は」


 ……なっ! 何を言っているの!


「口付けをさせてくれ」


 そう言ったと同時に彼は、私が反論する時間も与えずに唇にキスを落とした。


「メル、愛している」

「私もギルバート様のこと愛してます」



突然、この世界に召喚されて要らないと言われた私だけど……自分が大好きなパンのおかげで、幸せになれそうです!



             END.