「真山、かわいい」




ふっと吹き出してしまう。

私は密着する大きな体をそっと離して
眉を下げる真山を見つめた。


不安そうな顔…。

捨てられる間際のこいぬみたい。




「真山」

「なに。好きって言ってくれんの」


「…もう」




どうしたって緩む口もと。


すぐ近くにあった、幸せ。

神様…あなた結構やりますね。





後輩くんの時とは違う胸の鼓動。


これに名前をつけるには…まだやることがあるから。



代わりに、真山の唇にちょんと人さし指を触れた。



「んっ」


小さく声を漏らして、みるみる染まる真山のほっぺ。