彼の背中を静かに見送った後、私は踵を返して歩いた。

でも、すぐに立ち止まった。

前方のほうから明らかに不審な人物がこちらに向かっているのが見えた。

全身黒のコーデで黒いパーカーのフードは深く被っていて、死神が言っていた通り魔だと瞬時に分かった。

そのナイフの先は、紛れもなく晴人に向けていて。

‥‥‥ダメ。

その人にしちゃダメ!

そう思った瞬間、無意識に体が動いた。

私が出した選択は間違っていたんだ!

ーー『どちらを選んだとしても、貴方の行動次第でこれからの未来を変えることができます』

死神、お願い!

もし、もしも、この未来を変えることができるのなら今すぐにこの運命を変えて!