「そういえばさ、美紅にいうのもなんだけど、俺、新しい彼女ができたんだ。まだ付き合って日は浅いけど」

「そうなんだ」

いや、彼は変わっていたんだ。

新しい恋を始めていた。

何も変わっていないのは私‥‥‥。

「おめでとう、晴人」

「ありがとう。美紅も幸せになってな。俺、影ながら応援してるから」

なんで今でも優しくするんだろう?

私たちの関係はもう終わったのに。

「じゃあ、俺、この後バイトあるからこの辺で。元気でな、美紅」

彼は笑顔で手を振るけど、私は彼に“元気でね”と返すことができなかった。

ただ手を振り返すことしか。

これから起こることが分かっていたから。