「‥‥‥! な、なんでなの!? 」

確かに枕は死神に命中してるはずなのに、体が透けているようで通過してそのまま後ろにあるタンスに当たって床に落ちた。

死神はその場に立ったままで、びくともしない。

「先程も言ったように、私は死神です。私の姿はもうすぐ亡くなる貴方にしか見えていません。どんなに物を投げられても私には通過するだけです」

そう言われて、どんなに物を投げても意味がないことが分かって呆れてベッドに頭を抱えて蹲(うずくま)った。

「‥‥‥もう、一体なんなのよ」

頭の中が混乱している私とは違って、死神は至って冷静で表情を何一つ変えない。

「初めて会う人は誰しも疑うでしょう。これまで、何十人、何百人もお迎えしましたから」

まるで当たり前かのように死神は言うけど、今まで何百人ものの人が亡くなっているってことなの?