「あ、結城さ…」

「昨日休んでたけどそれって関係あるの!?」

鏑木くんが話しかけようとする度大きくなる声。

あからさますぎる。

全ての質問に答えて、どっと疲れがたまる。

「あ、あの…結城さん…」

目の前には、自分と同じ身長くらいの2つ結びの女の子が顔を赤らめて恥ずかしそうに立っていた。

「どうしたの?」

と聞き返せば、意を決したように口を開いた

「私と、お友達になってください!」

少し、なんと言われたのかわからなかった。

とも、だち。ともだち。友達

「友達!?」

「あ、あわわ…い、嫌なら全然…」

涙目になったその子を見て、慌てて弁明する

「ううん、すっごく嬉しい。私もお友達になって欲しい…です」

そう言うとその子はパァーっと顔を明るくした

「じゃ、じゃあ、今日のお昼休み一緒にご飯食べよう!」

(お昼ご飯は、蓮くんが…)

あ、もう、顔を合わせないようにするんだった。

「…うん、もちろん!」

数泊遅れてそう返すと、女の子は嬉しそうに自分の席に戻った。

(女の子の名前…覚えなくちゃ。)

そう、自分の失声症は治るものでは無いと思っていたため、クラス全員の名前を覚えていないのだ。

まぁ、よく聞く名前は覚えているけど。