次の日、教室に入ると少しザワザワとしていた。

(何で?)

「あ、結城さん。席替えしたから、結城さんの席はここだよ。」

鏑木くんが話しかけてくれて、自分の席の横を指さした。

(あ…だから皆ザワザワしてたんだ。)

ただてさえ蓮くんと仲いい私をよく思っていない人は、鏑木くんと仲良くなった私を見たら気分は良くないだろう。

ペコッとお辞儀をして、自分がもう話せることに気付いた。

(初めて…クラスメイトと話す。恥ずかしいけど、いいよね。)

「…ありがとう。」

声はすごく小さかったけど、鏑木くんにお礼を言えた。

鏑木くんは目をまん丸にして驚いていて、
その顔が面白くて笑ってしまう。

その笑い声にクラスメイトが気付いて、少しの沈黙の後

「「結城さんが…喋った!」」

と、謎のシンクロを見せた。

すると怒涛の勢いで女子が席の周りに集まった。

「結城さん、喋れるようになったんだー!」
「どうやって喋れるようになったの?」
「いつ喋れるようになったの!?」
「声可愛いねー!」

と様々。

こちらに来ていない女子は前から私の悪口を言っていた人だ。

嫌っている手前、ここには来づらいだろう。