ずっとそばで見ていたいと、全部独り占めしたいと……心の底から思う。

「恋々愛」

「……?」

いつもよりも優しい声で名前を囁けば、恋々愛は真っ赤な顔のままそっと俺を見上げる。

熱っぽく潤んだその瞳も、艷めく唇も、今すぐにでも俺のものに……──────────

「─────ご来場の皆様、こんばんはー!」

「あっ、はじまる!!」

飼育員さんがどこからともなく出てきたと同時にBGMが流れ出し、水面からイルカが顔を出す。

それにつられて、勢いよく身を乗り出してプールを見入る恋々愛。

いい雰囲気に持っていこうとも、やっぱりイルカには勝てない……。

水族館って結構不利な場所だったかも。