薄暗い館内でもわかるほど、恋々愛の顔は熱を帯びていて、あわあわと慌てる姿がなお一層愛おしくさせる。

その反応は計算なのか、素なのか……。

どちらにしても、心を奪われるのは確か。

「楓くん!」

恋々愛が向かった先から聞こえてくる、楽しそうにはしゃぐ声。

さっきの恥ずかしそうな態度からすぐに一変して。

俺より魚のほうが上ってことかよ……。

いくら意識させたところで、恋々愛の心はすぐにキレイな水槽と優雅に泳ぐ魚たちに持っていかれてしまう。

……自分で連れてきておきながら、ちょっと複雑。

恋々愛が向かった方へと足を進め、角を曲がればそこは幻想的なアクアトンネル。

頭上の海水がトンネルの道をキラキラと乱反射しながら照らしている。