その笑顔……不意打ちだと反則すぎ。

俺ばっかドキドキさせられて。

……気に食わない。

「どれ?」

「っ……!!」

水槽と閉じ込めるように恋々愛の背後に立って、耳元に顔を寄せた。

つい最近男嫌いを克服した恋々愛は、触れてなくてもこの距離ですぐに顔を赤くする。

恋々愛が言っている大きな魚なんて一目瞭然でどれなのかわかってるけど、俺ばっかドキドキさせられるのは気に食わないから反撃。

「あ、あれだよ!」

水槽の奥の方にいる大きい魚を指さす恋々愛の顔は恥ずかしそうに赤らんでいた。

こんな顔されるから尚更いじめたくなってしまう。

「あ、あっち、行こう!」

少し声を上ずらせながら、ロボットのような不自然な動きで順路を進む恋々愛。