その時、いつも弱々しいはずのジニアの目がまっすぐに僕を見た。もう立つことなんてできないほど弱っていたはずなのに、体を震わせながらゆっくりと立ち上がる。あまりに突然のことで僕は驚いて、でも嬉しくて、ジニアを抱き締めた。

「ジニア！すごい、すごいよ！立ち上がったなんて！」

元気になった、そう一瞬思った。でもそれが間違いだったと気付くのは、抱き締めたジニアが僕を見てどこか悲しそうな目を向けた時。僕の頭に、優しくて弱々しい声が響いた。

「だいすき」

その声の主は誰なのか、数秒かけて理解する。そして、ジニアが僕にかけた言葉だと理解した刹那、瞳からボタボタと涙が落ちていく。それは止めることができなくて、ぼやけてジニアが何度も見えなくなるのがもどかしい。僕はジニアを強く抱き締めて、震える口を開いた。

「僕も、ジニアのことが大好きだよ！どれだけ時間が経っても、僕がシワだらけのお爺さんになっても、ずっとずっと、ジニアのことが大好きだ！」