僕、エヴァン・カランコエには生まれた時からずっと一緒にいた家族の一員がいた。それは、僕の家で飼っていたゴールデン・レトリーバー。名前はジニア。

犬と人間、当然言葉はわからない。それでも僕はジニアのことが大好きだった。ジニアは僕にとって兄であり、親友であり、家族だから……。

朝、いつもジニアが顔を舐めて起こしてくる。僕が「おはよう!」と笑えば、尻尾を振って散歩に行こうって急かすんだ。

ジニアと、まだ朝になったばかりの街を散歩する。少し肌寒くて、でもジニアと歩くこの時間が大好きなんだ。

「ジニア、あそこの花すごく綺麗だね!何て言うのかな?」

「ワン!」

空に浮かんだ雲のこと、道端に咲いている花、落ち葉の絨毯、朝露に濡れた草むら、ジニアと見る全てが綺麗。ジニアとの散歩は飽きることがない。

「ジニア、はしゃぎすぎだよ!何かついてる!」

「ワン!ワン!」

散歩の途中で広い丘を見つけ、ジニアと走り回る。風が吹くたびにジニアのゴールドの毛が揺れた。