「フィオナ・カモミールです。ミステリー小説家兼O大学のオンラインコースで学ぶ学生です。よろしくお願いします」

「O大学ってあの名門の！？すごい！！」

レティシアが目を輝かせ、レイモンドも「すごいね！たくさん努力したんだね！」とまるで家族のように褒める。フリージアも少し驚いた表情を見せていた。しかし、フィオナの表情は何一つ変わらない。

「ありがとうございます」

そう言い、フィオナは早く自己紹介をしてくれないかとエヴァンの方を見た。知らない人に注目をされるのはあまり好きではないのだ。そのため、小説家のサイン会などを開いたり、人前で話したりはしない。

エヴァンが自己紹介をしている間、フィオナは部屋の様子を見る。デスクが並び、パソコンが一人一台用意されている。まるでオフィスだ。大きな棚には何かの資料がぎっしりと入っており、ホワイトボードも置かれている。

「予想していたのと違ったかしら？ここでフィオナとエヴァンは働いてもらうのよ」

シオンに声をかけられ、フィオナは「いえ、予想などはしていませんでした。頑張ります」と無表情で返す。