しょんぼりするエヴァンを気にすることなくフィオナは先に進む。薄暗い階段を登り、「捜査本部」とプレートがかけられたドアの前に立った。

本当に捜査チームが作られていることに、フィオナの心がドクドクと動く。ゆっくりとドアノブを回すと、賑やかな声が響いてきた。

色のない生活が、何の刺激もない物語が、今変わっていく。そうフィオナは感じた。

部屋の中には、スーツを着たシオンとサルビアの他に二人の男性と一人の女性がいた。三人とも、フィオナとエヴァンを見つめている。

「あなたたちもこの特殊捜査チームの仲間なのね!私はレティシア・エーデルワイス。美容師をしているの。よろしくね」

赤みがかったふんわりとしたロングヘアーに、緑の瞳のおしゃれなワンピースを着た女性が微笑む。次に、金髪に緑の目をした男性が笑顔で自己紹介をする。

「僕はレイモンド・アルストロメリア。職業は精神科医。何か困ったことがあったらいつでも相談してね」

最後に、グレーの髪に黒い目をした男性がどこか気怠そうに立ち上がり、手を差し出す。

「フリージア・テイラーだ。画家をしてる。よろしく」

フリージアは、まるでフィオナのように表情がない。エヴァンは少し困った様子を見せたが、フィオナは全く気にすることなくその手を取り、自己紹介を淡々と始めた。