「僕は「自然を操る力」を、シオンさんは「探したいものや人を見つける力」を持ってるんです」

驚くエヴァンにシオンとサルビアがそう言い、こうして特殊能力を持った人たちで捜査チームを作って事件を早期に解決させたいので協力してほしいと頼まれる。エヴァンは戸惑っていたものの、フィオナの心には何もなかった。あの時から、フィオナは些細なことで驚けなくなってしまったのだ。

「好きにすればいい。私は、どこに行ったって色褪せたままだから……。何も変わらないし、変えられない」

淡々とフィオナは言う。エヴァンは「フィオナ!」と止めたものの、フィオナの意思は変わらなかった。全てがどうでもいい。ただ、何かを与えられるのならばこなしてしまう。それがフィオナだ。

「ありがとうございます!では、一週間後にここに来てください!」

サルビアから住所の書いた紙を渡され、フィオナはその紙を見つめる。家から一時間ほど離れた場所だ。

変わり映えのなかったフィオナの日常が、少しずつ変わり始めようとしていた。