《柊輔》
この薬品会社の本社は名古屋にあって、
月に一度、各営業所の部長や本社の重役が集まって。
各営業所の業績や諸々を報告する会議が行われる。
長い会議が終わった頃には、茜色の空に変わっていた。
他の営業所の部長に飲みに誘われたが、
終わったら帰ろう。と思っていたから断りを入れて、
東京に戻る間際ーーー。
“今、どちらですか?
至急、電話下さい。”
仕事用の携帯に、佐藤からのショートメールが届いていて。
異様な胸騒ぎがして、
扉の前で電話をかける。
待っていたかのように、すぐに電話に出た佐藤に、
何があったのか聞くと。
『月香先輩と、例のセクハラする院長の病院に納品に行ったら……院長に捕まってしまって…誘われてたんです。あの人かなり月香さんを気に入ってるみたいなので…嫌な予感がして、私も同行しようと思ったんですが…月香さんが大丈夫って…』
嫌な予感が的中したみたいな内容だった。
『そうか…院長の接待でよく行く場所わかるか?』
『はい、私の勘が当たればですが…日本橋の料亭みさきです。』
『わかった、着いたらすぐに行く。佐藤、ありがとな。』
『いえ、月香さんのこと宜しくお願いします。』
電話を切ってすぐに、席に戻ったが。
何もされなてなければいい。
それだけをただ、願っていると……
着くまでの数十分が、もの凄く長く感じた。
着いてすぐに、改札を出てタクシーを捕まえた。
こういう時は、改札から正面の距離でさえ遠く感じた。
この薬品会社の本社は名古屋にあって、
月に一度、各営業所の部長や本社の重役が集まって。
各営業所の業績や諸々を報告する会議が行われる。
長い会議が終わった頃には、茜色の空に変わっていた。
他の営業所の部長に飲みに誘われたが、
終わったら帰ろう。と思っていたから断りを入れて、
東京に戻る間際ーーー。
“今、どちらですか?
至急、電話下さい。”
仕事用の携帯に、佐藤からのショートメールが届いていて。
異様な胸騒ぎがして、
扉の前で電話をかける。
待っていたかのように、すぐに電話に出た佐藤に、
何があったのか聞くと。
『月香先輩と、例のセクハラする院長の病院に納品に行ったら……院長に捕まってしまって…誘われてたんです。あの人かなり月香さんを気に入ってるみたいなので…嫌な予感がして、私も同行しようと思ったんですが…月香さんが大丈夫って…』
嫌な予感が的中したみたいな内容だった。
『そうか…院長の接待でよく行く場所わかるか?』
『はい、私の勘が当たればですが…日本橋の料亭みさきです。』
『わかった、着いたらすぐに行く。佐藤、ありがとな。』
『いえ、月香さんのこと宜しくお願いします。』
電話を切ってすぐに、席に戻ったが。
何もされなてなければいい。
それだけをただ、願っていると……
着くまでの数十分が、もの凄く長く感じた。
着いてすぐに、改札を出てタクシーを捕まえた。
こういう時は、改札から正面の距離でさえ遠く感じた。