屋台の並ぶ道に入ると、人がごった返していた。油断するとはぐれてしまいそうだ。


「あ、何あれ、面白そう!」


ヨルは《ヨーヨーすくい》と書かれた屋台に向かって1人駆けだしてしまった。


「あ、ヨル!」


ルナも慌てて後を追いかける。


「待ってルナ君!」


「おい、そんなことしてるとはぐれるぞ!」


その時



ドン!



花火が上がる音がして、それを一目見ようと多くの人が立ち止まった。

その結果、道が混み合ってしまった。


「おっとっと……すみません!」


ルナは立ち止まる人にぶつかりそうになりながらも、ヨルの居るであろうヨーヨーすくいの屋台に辿り着いた。


「はぁ、はぁ……ヨル!」


しかし、そこにヨルは見つからなかった。

それどころか、他のみんなの姿も見当たらない。

「もしかして……はぐれた……?」


ルナは慌てて辺りを見渡した。

しかし人が多すぎて、背の高い景太すら見つけられない。


(どうしよう……)


うなだれていた、その時だった。


「ルナ君、見つけた!」


ルナの腕を掴んだのは、菫だった。


「よかった……見つからなかったらどうしようかと思いましたわ」


「藤堂さん……急に居なくなってごめんね。」


「いいですわ!……闇雲に探しても大変ですし、屋台を回りながら2人を探しましょう?きっとどこかの屋台にいますわ」


「そうだね……一緒に回ろっか。」


「ええ!わたくし、見たい場所がたくさんありますの!」


菫は嬉しそうな顔をして、ルナの手を引いた。