誰にも見せない。 そう言おうとした瞬間、凌さんは、私の腰に手をまわしてグッと私の体を引き寄せた。

「それなら、いいんだ。悪いな、俺こんなんで。」

「こんなん…じゃないですよ。凌さんは、私が出会ってきた中で1番、強くて、優しくて、かっこいいです!」

…最近、よく凌さんに抱きしめられる気がするけど、全く嫌な気分にはならない。

それどころか、凄く温かくて、落ち着く…。

昔…お母さんが私を抱きしめてくれた時の温もりに似ていて、ずっとこのままでいたいと思ってしまう…。

少しして、凌さんは私から身を離して、私の顔を覗き込んだ。

「佑香、欲しいもの、ちゃんと買ってるか?」

欲しいもの…?実は、毎月凌さんのお母様から生活費というか、これで必要な物買ってね
って、お金をいただいてるんだけど、あんまり、使ってないんだよね…。

最低限というか…

いつか、それをもっと増やして返すつもりでいる。