「ごめんなさい、遅れて……」

「いや、俺は佑香のことになるとつい…」

「凌さんにそんなことを言って貰えるなんて私は幸せ者ですねっ、」

凌さんに抱きしめられている状態のまま、顔をあげると、凌さんと見事に同じタイミングで目が合う。

「佑香は、本当によく笑うんだな。」

「えへへっ、お母さんが、昔、私の笑顔が好きだって、言ってくれたので。それからたくさん笑うようにしてるんです!」

「でも、私、凌さんに会ってから、気づいたら、前よりもずっと自然に笑うようになってて。今が楽しくて仕方ないです!」

凌さんは一呼吸おくと、ぼそっと

「……そんなの、俺もだよ。」

と、鼻と鼻が触れそうなぐらい近い距離で優しく呟いた。

ドックンっ!!胸の奥がきゅーと締め付けられたみたいになる。

こんなふうになったのは、凌さんが初めて……

私…今年の夏は1人じゃないんだ…。
凌さんや、長谷部さん、それに聖良くんも、九条さんも、水無月も、白銀さんも…。

私の周りには今、たくさんの素敵な人達がいる。そう考えただけでなんだか気持ちが軽くなった気がした……