返答に困る私の耳に届いたのは、聖良くんの低い声。

「白石っ、?」

「ほら、早く散れ。」

聖良くんのその言葉に、男の子たちは何か言いたそうだったけど、黙って私の元を離れていった。

「聖良くん…?」

「ねぇ、佑香。」

「ん?」

「夏休み、俺と遊ぼうよ。俺、佑香が行きたい所、全部連れてくよ。」

聖良くん、なんで私なんだろう。彼女さんとかいないのかな…

「聖良くん、もっと可愛い子誘わなくていいの?」

そう言うと、聖良くんは少し考える素振りを見せてから、顔を近づけて告げた。

「俺は最初から、佑香にしか興味ないよ。」

「え……??どうゆうこと…?」

「ハハッ、やっぱり、佑香は佑香だ。いいよ、まだ知らなくて。俺は、この夏本気出すから待ってて。」

「えっ、?うん!頑張ってね!」

思わず、ガッツポーズをすると、聖良くんは、口元に手の甲をあてて、笑った。