2(まさかの相手)
[凌side]

高1の時、突然母さんから、許嫁がいると言われて、俺は、絶対に嫌だと首を振り続けた。
それは、惚れた女がいたから。理由は単純だった。

俺は、昔から、女に言い寄られてきた。マジで気持ち悪い。女は裏表があって、すぐに陰口を言う。大嫌いな生き物だった。

だけど、そんな俺が、唯一惚れた女がいた。

それは中学2年生の冬、俺のことを気に食わない奴らが、俺に喧嘩をふっかけてきた時だった。

喧嘩には勝ったが、当時の俺は強くなく、腕から血がダラダラと流れてきて、水で洗ったが、全然止まらず。その時だった。

「大丈夫ですか!?」

「あ?」

「これ使ってください!」

突然、俺に声をかけてきて白いハンカチを手渡そうとしてきた女。

「俺に近づくな。」

思いっきり、睨んだのに、女は全くひるまない。あ?なんだ、こいつ。そう思っていた。

「絶対、そのままじゃダメです!」

そう言って、慣れた手つきで勝手に俺の腕にハンカチを巻き付けた女。

その爪は綺麗に切りそろえられていて、他のやつみたいなネイルは全くなかった。