次の瞬間、聖良くんの胸元に引き寄せられた。

「へっ?」

「大丈夫だよ、俺はずっと、いるから。」

ふふ、少し、私の不安がとけたような気がした。

「聖良くん、ご飯たべよう?」

「あ、そうだな。」

聖良くんは、腕をそっと解いてくれた。

私は手を合わせて、「いただきます。」と、頭を下げる。

私は、過度な幸せは、もう、望まないようにしよう…。

聖良くんみたいに、こう言ってくれる人がいる。なら、私はそれだけで十分……

それから、私は数日間、そんなふうにして昼休みを過ごした。

もちろん、凌さんには、何かあったのか、と聞かれたけど、何とか誤魔化してしまった…

ただ、私にはそっと、女の子達にバレないようにと、目をつけられないように、とそればかりが胸に押し寄せてきていた。