「よかったぁ…」

「え?」

俺より、30cmぐらい、低い佑香の顔を覗くように、俺は顔を下に向けた。

すると、ホッとしたような笑顔を浮かべる佑香の顔が…

「私、不安だったんです。その、許嫁の話って、お母さんの遺言というか遺書で、幸せになって欲しいって書いてあって…それで、決意してここに来ることを決めたんですけど…」

知らなかった、そうだったのか……佑香は、本当に、親が大好きなんだな…

「正直、凌さんがどうゆう方なのかも、分からなかったし、何より、凌さんに好きな人とか、彼女さんがいたらどうしよう…追い出されたら…って、色んな不安がありました。」

「凌さんは、許嫁の件、受けてくれましたけど、本当は社交辞令だったんじゃないかなって…」

そんなことない。許嫁の件を受けたのは、本当に心から、佑香が好きだったから…

「社交辞令なんかじゃない。」

「ありがとうございます…」

少し、視線を下に落とす佑香、