急いで、パエリアを作って、7時10分、凌さんをよんだ。

「いただきます。」

スプーンの上に多めにパエリアをのせて、口の中へ運んだ凌さんの感想が気になった。

「美味いっ、」

「ありがとうございます…」

「佑香はすごいな。俺には、出来ない。」

「凌さんは、彼女さんが、きっと、作ってくれますよ……」

私は、凌さんの彼女さんになる人がどんな人なのか想像してしまった。

「は? 俺には、彼女なんていない。ていうか…」

言葉の途中で、身を乗り出して来た凌さん。

「俺の許嫁は佑香だから、」

「そ、そうですけど…凌さん、好きな人くらい…」

「好き…か…」

体を元の位置に戻した凌さんの顔が、少し歪んだように見えた…。