29 (遊園地デート)

遊園地に着いて辺りを見渡しても人は、まばらにしかいなかった。

「今日…人少ないですね…。」

「あぁ、制限かけたからな。」

「え?」

「佑香が好きなだけ乗れるように。」

まさか…文月グループの、権力みたいなもの?

「やっぱり貸切にすれば良かったか。」

独り言のようにボソッと呟く凌さん。

「そ、んなのダメですっ!」

「ん、そう言うと思って貸切にはしなかった。まぁ、制限かけたら意味無いか。」

……理由もなく貸切はあんまり良くないと思うけど……凌さんなりに考えてくれたんだろうな…。

「ありがとう、ございます。」

「…ん。何乗りたい?」

「えっと……ジェットコースター…とか気になります。」