だと、思ったのに…周りの人達はどんどん差をつけていく。

そうして、差が開いていったまま、九条さんにバトンは渡される。

っ、やっぱり、3年生はレベルが高い。

九条さんは周りを圧倒するぐらいの速さなのに、その差は大きくて…。

周りが絶望したまま、アンカーの凌さんにバトンが渡された…。

凌さん…お願いっ、

「凌さんっ!!」

大きく叫んだ声が凌さんに届いたかは分からないけど、……気づいたら、凌さんが1位のゴールテープをきっていた。

「今…何があったんですか…」

誰に聞く訳でもないけれど、言葉をはく。

「気づいたら、凌が全員抜かしてたな。」

「あんなん勝てるわけないでしょ。」

水無月さんが呟いた声が私の耳に届いて、私は気づいたら、駆け出していた。