「凌さんっ、血が!」

凌さんの口元から血が出ている。

「こんなのどうでもいい。…佑香が無事で良かった…。」

「そんなっ、」

眉毛を下げると、私を抱きしめる凌さんの腕の力はどんどん強くなっていく。

そして、凌さんは私の首元に顔を埋めた。

「…もう、離れるなんて言うな…。」

さっきまで本当に強かった凌さんの甘えたような声は私の心をくすぶった。

そばにいて…いいんだ…。

「っっ、は、い。もう言いません。」

「凌さん、病院は行かなくて大丈夫ですか…?」

「あぁ、もう今日は、佑香と離れたくない。」

「……帰ったら手当てしましょうね。」

笑って見せると、竜さんたちから笑い声が漏れた。