手に取って、表に返すと、そこには綺麗な字で 『凌さんへ』と書いてあった。

俺に向けた…手紙?

中身を取り出すと、紙の擦れる音が響く。


俺はそっと、半分に折られた紙を開いた。


『凌さんへ
この手紙は、凌さんに届いているか分からないけれど、この手紙だけには私の本音を綴ろうと思います。私は…これ以上凌さんの近くにいれば、凌さんを潰すと言われました。私にとって1番大切なのは凌さんです。凌さんが、幸せでいてくれるなら、私は、凌さんの元を離れます。自分勝手でごめんなさい。どうか幸せになってください。さようなら。』


何度も何度も、書き直された跡がある。それに最後のさようならの文字が滲んでいた。

文字に指で優しく触れる。
…泣いてたのか…?