─嫌われてしまいたい。

ごめんなさい、凌さん。

凌さんは今、家に居ないはずだから、今のうちに夜ご飯を作っておこう。

泣き腫らした目を擦って、私はキッチンへと向かい、買ってきた食材を切り始めた。

オムレツ…凌さんが大好きだと言ってくれたもの。


作り終わったオムレツと付け合せにラップをかけて手紙を残した。

「用事があるので温めて食べてください。」

と…

これで大丈夫。部屋に戻ろう…。

長い廊下を抜けて、部屋に戻ろうとした時だった。

「佑香…?」

その声が聞こえたのは…

りょ、さん。

帰ってきて…?

顔を思いっきり上げてしまったから、きっと私の汚い顔は見られた。

「なんで、泣いて…」