凌さんの手によって塞がれた両耳。
もう何も聞こえない…。

私は凌さんが優しいのをいい事に、凌さんの背中に腕を回した。

「少し…だ、け甘えて…いいですか…。」

音が聞こえないから、凌さんが返事をしたのかも分からない。

私は知らなかった。凌さんが甘く呟いていた言葉を…

「他の奴にはこんなことすんじゃねぇぞ。」

「俺のなんだから。」

凌さんの気も知らず、私は温かい凌さんの腕の中で夢の世界へと落ちてしまった。

「ん…」

「あ、さ…?」

カーテンの隙間から覗いている太陽の光。

「え、凌さん…?」

私の右手はしっかりと凌さんの服を掴んでて、私が大きい声を出したからか、凌さんのまぶたはゆっくりと開かれた。