「佑香?」

「い、いえ。なんでもないです。」

追求されるのが怖くて、慌てて誤魔化してしまった。

「あれ?花衣さんと凌!」

そんな中、少し寝ぼけた様子の水無月さんの声が私の耳に届いた。

「花衣さん!」

いきなり、腰に回された水無月さんの手。

「へっ?」

「ダメだよ。凌は狼だから。」

水無月さん、寝ぼけてる…?

「おい、お前は口を出すな。」

そんな低い声とともに私から剥がされた水無月さんの手。

凌さんかと思ったら、九条さんだった。

「凌怒らせたら、勝てないぞ。遥斗。」

続いて聞こえたのは白銀さんの声。

「あの、大丈夫ですか?」

「あ、まぁ。」

曖昧に言葉を濁す九条さんと、九条に掴まれて、悶えている水無月さん。