「はい…。」

佑香の怖さを減らすために話をふると、暗いから顔はあんまり見えないけど、佑香の小さな笑い声は聞こえてきた。

それだけで、心から安心する。

と、その時…

『ガサガサっ、』

と、茂みの方から何かの音が聞こえた。

「きゃっ!!む、無理…」

よく目をこらすとその正体は小動物だと思われた。だけど、それが佑香には幽霊か何かに見えたみたいだった。

「凌さんっ、」

「え、っ?」

佑香は、いきなりしがみついてきて、俺はその衝動で、佑香を抱えたまま後ろへ倒れてしまっ
た。

ただ、佑香を守ろうとした拍子にグルンっ!と反対になって、まるで俺が佑香を押し倒したみたいになってしまった。

『ドックン!!』

「りょ、さ、ん」

それが、俺の理性が切れた瞬間だった…。