「だよな。じゃあ、楽しんでこいよ。」

小さく頷いて、可愛いらしい佑香の手を絡めた。

「えっ!」

「はぐれなんなよ。」

茹でたこみたいに真っ赤になって、俺の手を握り返した佑香。

「行くか。」

そうやって、林の中の道へと入っていくと、辺りは真っ暗だった。スマホのライトで足下を照らす。

「り、凌さん。」

すると、早速、隣から佑香の声が聞こえた。

「暗くて、よく見えなくて、もし、大丈夫だったら、」

「ん?」

「もっと、寄っていいですか?」

…こんなことを言って、きっと本人は煽ってなんかいないつもりなんだろうけど…お前の事を好きな男だそ?俺だって、獣なんだ。

「絶対、怖い思いなんかさせねぇから。」