「何から何まで、本当にすみません。」

「いえ、僕は一旦、夕飯の支度があるのでここで失礼します。」

ペコッと頭を下げてリビングから出ていった黎を見送って、俺も佑香と一緒に部屋を出た。

風呂へと歩いていくと、俺から1歩後ろぐらいで、よそよそしくついてくる佑香。

「なんで後ろなんだ?」

「えっ?あ……隣を歩くのは、失礼なので、」

なんで…失礼なんかじゃないのに。

俺は、グイッと佑香の腕を軽く掴んで、俺の隣に来させた。

「隣がいい。」

「あ、し、失礼します……」

それからの会話はほとんどなく、俺は無事に佑香を風呂に送り届けた。

「ありがとうございました。凌…さん…」

まだ、下の名前を呼ぶのになれないのか、その言葉はぎこちないけど、それでも佑香は笑顔でお礼を告げてくれた。