「はあ。……ってことは、ちょっと待って! 岡原のあたしに対する態度って、『好き』て気持ちの裏返しだったってこと!?」

「うん、さっきからそう言ってる。っていうかアンタ、今ごろ気づいたの?」

 美雪が呆れてツッコんでくる。「鈍感(ドンカン)」と言われた気がして、真樹は苦虫を()(つぶ)したような顔で頷いた。

「……だってさぁ、あの頃のあたしはそんなこと知らなかったんだもん! なんで素直に態度で表してくれなかったんだろ?」

「そこがオトコ心の複雑なとこなんだよね。五年もかかっちゃったけどさ、今日岡原の正直な気持ち聞けるんだから」

「……だね」

 又聞きだけれど、真樹は岡原の本心(らしきもの)を聞くことができた。
 今日、この同窓会が終わったら、長く燻ぶっていた初恋にもようやく決着がつく。
 やっと、前に進める。

「――ほら、早く行こっ!」

「うん!」

 親友(みゆき)の呼びかけに元気よく答え、真樹は歩くスピードを少し速めた。