「ええっ!? そっ、そんなんじゃないよ! 岡原が連絡くれたのは、同窓会のことがあったからでたまたまだよっ! ……多分」

 真樹は慌てて否定したけれど、「多分」とつけ足したのは「たまたまじゃなければいいのになぁ」という願望の表れだった。

(だってアイツ、あの時あたしに「伝えたいことがある」って……)

 あれは今日、「告白するつもりだ」という意味なんじゃないだろうか。――そう思うのは真樹のうぬぼれだろうか?

「でもさぁ、二人が付き合ってなかったなんて、なんか意外~。ウチら、あの頃真樹とアイツが付き合ってるって思ってたもん。ね、美雪?」

 また別の友達が、美雪に同意を求める。

「うん、それはあたしも思った。だってさ、あんなに仲よかったじゃん、アンタら」

「よかった……のかなぁ」

 真樹は首を傾げた。どちらかといえば、ケンカに近いやり取りばかりしていたように記憶しているのだけれど……。
 そしてそのやり取りは、卒業して五年経った今でも健在だった。でも、彼が変わっていないことが真樹は嬉しかった。

(あたしの好きなアイツは、中学時代いっつもあんな感じだったんだもん)

「――で? 真樹は今日、岡原に(コク)るつもりなの?」

 美雪が今更なことを訊いてきた。彼女は真樹が今でも彼のことを諦めずにいることを、ちゃんと知っている。

「うん、そのつもりだけど。なんで分かったの?」

「あたしが何年、アンタの親友やってると思ってんのさ? 見てれば分かるよ。ガラにもなくメイクなんかしちゃって」

「あ……、リップだけね」

 普段はメイクなんてしない真樹だけれど、今日は着合いを入れるためにピンクベージュのカラーリップを塗ってきた。岡原に、少しでも大人っぽくなった自分を見てほしくて。

「――ね、美雪。最近の岡原(アイツ)って外見どんな感じになってんの?」