「――片岡さん、来てたんだ。何の用だったんだろ?」
真樹がメモを手に首を傾げていると、佐伯さんが「ああ、そういえば」と思い出したように口を開いた。
「一時間くらい前だったかなぁ、スーツ姿の男性が麻木さんを訪ねてきてたよ。『何回電話しても繋がらないから来たんだ』って言うから、『麻木さんなら今日はバイトに行ってるよ』って私が教えてあげたんだ。そしたら彼、その場でそのメモを書いてポストに入れて行ったよ」
「そうですか……。わざわざ知らせてくれてありがとうございます」
佐伯さんにお礼を言って、真樹は二階の自分の部屋に帰ると、改めて握りしめていたメモをじっくり見た。
……なるほど。管理人が言っていた通り、急いで書き殴ったような字である。普段の彼の字はもっと丁寧なはずだ。
続いて、手帳型のカバーに入っているスマホの電源を入れると、不在着信を知らせるメッセージが十件入っている。
そのうち四件は岡原の番号で、残りの六件は片岡だった。
岡原の用件は見当がつく。どうせ返事の催促だろう。けれど、片岡の用件は?
(改稿の依頼かな? それにしては早すぎる気もするけど)
第一稿をメールで送ってから、まだ一日しか経っていない。でも、担当である彼からの用件はそれくらいしか思いつかないし――。
「――う~ん、パソコンにはそれらしいメールは来てないなぁ。とりあえず、かけ直してみるか」
真樹はひとまず岡原への連絡を後回しにして、片岡の携帯にかけた。ちなみに彼の携帯はスマホではなく、そろそろ絶滅しそうなガラケーである。
『――はい、片岡です。先生、やっと繋がりましたね!』
「ゴメンなさい。ついさっき帰ってきたとこなんで。――あ、メモ見ました。管理人さんから、片岡さんが来てたこと聞いて」
『ああ、そうでしたか。こちらも急ぎだったもんで、先生がお仕事に行かれてるってことをコロッと忘れてまして』
真樹がメモを手に首を傾げていると、佐伯さんが「ああ、そういえば」と思い出したように口を開いた。
「一時間くらい前だったかなぁ、スーツ姿の男性が麻木さんを訪ねてきてたよ。『何回電話しても繋がらないから来たんだ』って言うから、『麻木さんなら今日はバイトに行ってるよ』って私が教えてあげたんだ。そしたら彼、その場でそのメモを書いてポストに入れて行ったよ」
「そうですか……。わざわざ知らせてくれてありがとうございます」
佐伯さんにお礼を言って、真樹は二階の自分の部屋に帰ると、改めて握りしめていたメモをじっくり見た。
……なるほど。管理人が言っていた通り、急いで書き殴ったような字である。普段の彼の字はもっと丁寧なはずだ。
続いて、手帳型のカバーに入っているスマホの電源を入れると、不在着信を知らせるメッセージが十件入っている。
そのうち四件は岡原の番号で、残りの六件は片岡だった。
岡原の用件は見当がつく。どうせ返事の催促だろう。けれど、片岡の用件は?
(改稿の依頼かな? それにしては早すぎる気もするけど)
第一稿をメールで送ってから、まだ一日しか経っていない。でも、担当である彼からの用件はそれくらいしか思いつかないし――。
「――う~ん、パソコンにはそれらしいメールは来てないなぁ。とりあえず、かけ直してみるか」
真樹はひとまず岡原への連絡を後回しにして、片岡の携帯にかけた。ちなみに彼の携帯はスマホではなく、そろそろ絶滅しそうなガラケーである。
『――はい、片岡です。先生、やっと繋がりましたね!』
「ゴメンなさい。ついさっき帰ってきたとこなんで。――あ、メモ見ました。管理人さんから、片岡さんが来てたこと聞いて」
『ああ、そうでしたか。こちらも急ぎだったもんで、先生がお仕事に行かれてるってことをコロッと忘れてまして』