よろしくと言われても、多分零士の中で俺は友達というカテゴリーにすら入っていないような気がする。

だってほら。ふたりきりになった途端に、この表情。

さっきは犬のように嬉しがってしっぽを振っていたくせに、今はまた静かな零士に戻っていた。

「あんないい女とどこで出逢うんだよ?」

俺もそこそこ顔は広いし、年上から年下まで色んなコミュニティは持ってるつもりだけど、あそこまで美人な女は滅多にいない。

「きっかけはインスタのDMだったかな」

「え、お前メッセージとか送るタイプだったの?」

「違う違う。綾子さんから来たんだよ」

「マジかよ。俺なんてインスタもツイッターもスパムメールしか来ないけど?」

「まあ、俺もスパムはしょっちゅう来るけど」

「それで会ってみたって感じ?」

「うん。そんな感じ」

零士のインスタは一応フォローしてるから見たことがあるけれど、はっきり言えばつまらない投稿ばかりだ。

基本的に食い物か、たまに風景を上げたりしてるけど、更新は月に一回あるかないかだし、顔写真も仲間内で撮ったものを1、2枚アップしてるだけ。

それでDMが来てあんな美人と出逢えるって、どんだけこいつは前世で徳を積んだんだよ。不公平すぎるだろ。